2024年5月17日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年4月19日

 どういう反応になるかは、イラン国内でのイスラエルへの反発や、外交安保についての利害得失についてイランがどう判断するかによるが、イランは外交安保政策については慎重に諸情勢を考えて決定する傾向があり、抵抗の枢軸の代理勢力を使った攻撃になる可能性が高いと思われる。とにかく中東での大戦争は避ける方向でイランが対応することが望ましい。

ネタニヤフ退出には極右政権も甘受を

 イスラエルがダマスカスのイラン大使館を直接攻撃した理由はよくわからないが、ネタニヤフがネタニヤフへの反対世論が抗議デモなどで噴出する中、イランとの戦争の可能性を掻き立てて国内を団結させることを狙っているだとすれば、危険な火遊びとしか言えない。イスラエルはガザ戦争で国際的に孤立してきており、対米関係も危機に瀕している今、イランとの緊張を自分から高めるのは愚策であると思われる。

 ただ、ネタニヤフはイスラエルにとりこれまでで最悪の指導者で、彼を政権の座から去らせるためにイスラエル国民は早期選挙を求めるなどの対応をすべきである。そのためには一時的に極右政権が出来て状況がさらに悪化することも甘受するのが正解かもしれないとさえ思える。ガザ戦争が中東に拡大される危険は何としても避ける必要がある。

【教養としての中東情勢】特集はこちら

   
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る